カテゴリー: 不服申立て

2020年7月21日

「障害基礎年金不支給処分取消訴訟(知的障害)」㉔

◆平成30年の東京地裁判決を取り上げます。

「他人との意思伝達及び対人関係」についての医師の判定について、裁判所は書証及び証人の証言から次の通り判断しました。

書証及び証人の証言からすれば,本件診断書における他人との意思伝達及び対人関係,すなわち,他人の話を聞く,自分の意思を相手に伝える,集団的行動が行えるなどの能力につき,助言や指導をしてもできない若しくは行わないとされていることは,にわかに首肯し難いといわざるを得ない。

しかし、原告母等が繰り返し又は常に付き添って助言や指導を行うことを前提とするものであるし,不適応な面について指導したけれども改善しなかった面もある原告の特性を理解している限られた人々との間ではある程度の意思疎通や対人関係の構築ができるとしても,広く第三者との間で自立的におおむね適切な意思疎通や対人関係の構築ができるとまでは言い難い。

したがって、診断書の評価は、なお相当性を失うものではない。

評価は消極的ではあるが、診断書の判断は正当であると判断されました。

次回に続く。

2020年7月20日

「障害基礎年金不支給処分取消訴訟(知的障害)」㉓

◆平成30年の東京地裁判決を取り上げます。

「他人との意思伝達及び対人関係」について

<診断書記載の医師の評価>

助言や指導をしてもできない若しくは行わない。

<病歴状況申立書>の要点

順序立てて話すことはできない,会話の前後関係がなく,脈絡なく話を始めるため,何を言っているのか家族であってもわからない,質問に対する答えが的確ではなく的が外れる。

<証人原告母の証言> 通勤時、決められた時間の電車に乗ることしかできず,1本電車が遅れるだけで混乱して,母にスマートフォンを操作して電話又はメールで助けを求めてくるとされている。

以上の情報を踏まえ、この点について裁判所はどう判断したのでしょうか。

次回に続く

2020年7月19日

「障害基礎年金不支給処分取消訴訟(知的障害)」㉒

◆平成30年の東京地裁判決を取り上げます。

「通院と服薬」についての医師の判定について、裁判所は書証及び証人の証言から次の通り判断しました。

病状等を主治医に伝えることができるなどの能力について,助言や指導があればできるとされているのは相当というべきである。

つまり診断書の判断は正当であると判断されました。

次回に続く