カテゴリー: 所得制限
2019年10月14日
「所得制限による支給停止」その②
ご依頼人から必ず質問されることは…
前回の前置きに引き続き中身を解説していきます。
◆年金停止に係る所得のボーダーラインは?
障害年金の受給に影響がある具体的な所得額を見ていきます。
その前に、所得制限による支給停止には下記の2種類あります。
1.全額支給停止
2.1/2(半額)支給停止
上記1及び2の停止がかかるのは、前年中の“所得”が一定額以上の場合です。
現行の金額を示しますと、前年所得が
4,621,000円以上で、上記1の全額停止
3,604,000円~4,620,999円で、上記2の1/2停止
となります。
障害年金を受給されている方で所得がある方はほとんどが給与所得者と考えられることから、給与所得のみの方を例にとり具体的に解説します。
先ず押さえていただきたいのは、上記の金額が“収入”ではなく、“所得”というところです。
そこで、所得については税の基礎となる概念であることから、客観的に確認する方法がありそうです。
どう確認したらいいかといいますと、“源泉徴収票”で確認ができます。
多くの場合1月の給料袋に入っていたりしますよね。
では、この源泉徴収票で“所得”を確認してみましょう。
◆お手元に最新の源泉徴収票をご用意ください。
一番上に住所と氏名の欄がありますが、次の行を見てください。
左から、種別、支払金額、給与所得控除後の金額、‥となっています。
この中で支給制限の基準となる“所得額”は、“給与所得控除後の金額欄”に記載のある金額になります。
この額が、3,604,000円未満であれば、障害年金の支給制限は一切ないことになります。
通常、私たちは収入という概念で考えることが多いことから、次回は、収入⇔所得の関係から見ていきます。
2019年10月13日
「所得制限による支給停止」その①
ご依頼人から必ず質問されることは…
◆養護学校OB・OGの保護者の方からのご依頼で、裁定請求の代理人として関与させていただいている期間中、ほぼすべてのご依頼人から必ず質問される事項があります。
それは 「いくら以上所得があると年金をもらえなくなりますか?」
数回に分けてこのテーマを掘り下げてみたいと思います。
◆所得制限がある年金は?
まず、所得制限があるのは「20歳前の傷病による障害基礎年金」です。
国民年金加入義務が発生する20歳前に初診日がある場合に支給される年金です。
多くの養護学校卒業生はこの種類の年金を受給されていることと思います。
なぜ、この年金に所得制限があるのか?
まずは年金の本質から見る必要があります。
“年金は保険のひとつの類型です。”
公的年金の場合は、国が保険者で国民が被保険者となります。
保険の原理によれば、被保険者は保険者が定めた保険料を納付する義務があります。
皆様が加入する年金保険料を納付するのはこのためです。
しかし、基礎年金においては、この保険の原理が曲がる場面があります。
そのひとつの場面が、“20歳前の傷病による障害基礎年金”なのです。
保険料を納付しなくても受給できることから所得制限の仕組みがあるのです。
参考までに 厚生年金を規律する法律は厚生年金保険法に対して、国民年金を規律する法律は国民年金法です。
法律のネーミングを見て何か気づきませんか?
厚生年金には“保険”の文字があるのに対して、国民年金には“保険”の文字がありませんね。
なぜかというと、国民年金には保険の原理が適用されない20歳前の傷病による障害基礎年金のような無拠出の制度があるからなんです。
法律って緻密なものなんですね!
続きは次回