カテゴリー: 裁判例
2020年7月14日
「障害基礎年金不支給処分取消訴訟(知的障害)」⑱
◆平成30年の東京地裁判決を取り上げます。
「身辺の清潔保持」についての医師の判定について、裁判所は書証及び証人の証言から次の通り判断しました。
原告は,着替え,洗顔,人浴,歯磨き,用便といった基本的な動作を自分で全く行えないものではないが,これらについて自発的かつ適正に行うことができるとまではいえず,本件診断書において,身辺の清潔保持,すなわち,洗面,洗髪,人浴等の身体の衛生保持や着替え等ができ,また,自室の清掃や片付けができるなどの能力について,自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできるとされているのは相当というべきである。
次回に続く
2020年7月12日
「障害基礎年金不支給処分取消訴訟(知的障害)」⑰
◆平成30年の東京地裁判決を取り上げます。
「身辺の清潔保持」について
<診断書記載の医師の評価>
自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる。
<病歴状況申立書>の要点
・自発的に人浴することはなく,毎日,家族に何度も指示されて人浴し,洗髪がうまくできないため,妹に手伝ってもらっている,用便のあとの始末がきちんとできていないため,下着が汚れている
・何日も同じ服を着て,何度か注意をしてやっと着替える自室の掃除をするよう促すが,何度も声をかけられ,ようやくゴミを出す程度である
・歯磨きをするが,表面的な動作を行うだけで終わってしまう
<証人原告母の証言>
上記病歴状況申立書と同じ
この点について裁判所はどう判断したのでしょうか。
次回に続く
2020年7月10日
「障害基礎年金不支給処分取消訴訟(知的障害)」⑯
◆平成30年の東京地裁判決を取り上げます。
「適切な食事」についての医師の判定について、裁判所は書証及び証人の証言から次の通り判断しました。
原告は,空腹を感じた上で,助言や指導の下,調理まではともかく,その準備が全くできないものではなく,また,用意できた食事を摂ること自体はできるものの,食事を自発的かつ適正に行うことができるとまではいえず,本件診断書において,適切な食事,すなわち,配膳などの準備も含めて適当量をバランスよく摂ることがほぼできるなどの能力について,自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできるとされているのは
相当というべきである。
次回に続く