2020年6月30日

「障害基礎年金不支給処分取消訴訟(知的障害)」⑧

◆平成30年の東京地裁判決を取り上げます。

これに対して両者の主張は

原告(請求者・不服申し立て側)

家庭内においては,起床・就寝,食事,着替え・衛生面,金銭管理等につき,家族の指示や援助を常に必要とし,やっと日常生活の基本的行為ができている。

限定された単純なパターンの作業についてすら,他者の指示や援助がなければ困難な状況で,一人暮らしをするなど不可能である。

被告(国側)

日常生活においてある程度の指導や助言が必要であるとしても,基本的な日常生活動作については自発的にできることも決して少なくない。

同じ書面を見ていても、評価が全く異なることがわかります。

2020年6月29日

「障害基礎年金不支給処分取消訴訟(知的障害)」⑦

◆平成30年の東京地裁判決を取り上げます。

論点ごとに原告、被告双方の主張を整理していきます。

論点1

基本的な日常生活動作についての自立度

裁判所の認定事実から診断書の記載を再現すると

「生活全般にわたり母・家族の援助なしでは成立していない。何を行うにも家人のサポートが必要であり,日常の最低限のことも出来ないことが多い。」

「母や家族のサポートなしでは日常生活がおくれない。」

「日常生活活動能力は非常に低い。」

また、診断書の日常生活能力の判定は

(食事) 自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる

(身辺の清潔保持) 自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる

(金銭管理と買い物) 助言や指導をしてもできない若しくは行わない

(通院と服薬) 助言や指導があればできる

(他人との意思伝達及び対人関係) 助言や指導をしてもできない若しくは行わない

(身辺の安全保持及び危機対応) 助言や指導をしてもできない若しくは行わない

(社会性) 助言や指導をしてもできない若しくは行わない

さらに、日常生活能力の程度は

知的障害を認め,日常生活における身のまわりのことも,多くの援助が必要である。

などの記述があったようです。

次回に続く

2020年6月28日

「障害基礎年金不支給処分取消訴訟(知的障害)」⑥

◆平成30年の東京地裁判決を取り上げます。

では、原告側はどんな主張をしたのでしょうか。

裁判は同一論点についてそれぞれの主張をぶつけ合う対立構造を取ることから、次回以降論点ごとに原告、被告双方の主張を整理してみたいと思います。

次回に続く