2019年10月16日

カテゴリ―:

「所得制限による支給停止」その④

ご依頼人から必ず質問されることは…

前回の続きです。

◆誰の所得で判定する?

所得制限による障害年金受給への影響に関連して、よくご質問される論点があります。

“所得制限については、受給者の家族の所得もカウントされるんですか?

” このご質問の背景には、公的制度の中には世帯構成員全員の所得が給付に影響されるものがあるからだと思います。

上記の質問に対する答えは、カウントされる所得は受給者本人のものだけです。

マイナンバーの本連携の前の話ですが、20歳前の傷病による障害基礎年金の裁定請求の際に、審査のため添付が必須とされていた所得証明書は、請求者本人のものだけだったことからも明らかです。

◆前年中に受給した障害年金も所得にカウントされる?

この点については、障害年金は非課税所得であることから、所得制限の判定の対象となる所得にはカウントされません。

ちなみに、公的年金の保険事故は、老齢(老齢年金)、障害(障害年金)、死亡(遺族年金)ですが、税の対象となる所得としてカウントされるのは老齢年金のみです。

2019年10月15日

カテゴリ―:

「所得制限による支給停止」その③

ご依頼人から必ず質問されることは…

前回の続きです。

◆給与収入と給与所得の関係は?

給与所得者が毎月手にするのは給与明細のため、毎月の額面(収入額)がどれだけあれば支給制限になるのかが気になるところです。

そこで、支給制限の所得基準を収入基準に変換してみましょう。

この変換するためのツールは 所得税法 別表第五“年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表”です。

インターネットができる環境の方は、e―Gov(電子政府の総合窓口)等でご覧になれます。

上記の別表五で、支給制限のかかる下限額である給与所得3,604,000円は給与収入額でいくらになるか確認してみましょう。

この表中、給与所得控除後の給与等の金額(給与所得額)欄で3,604,000円を探してください。

該当箇所の左の給与等の金額(給与収入額)は、5,180,000円以上5,184,000円未満 となっています。

これは、給与収入額が5,180,000円に達すると、給与所得が3,604,000円とされるということです。

逆に言えば、給与収入額が5,179,999円までであれば、障害年金の支給制限の下限である所得額で3,604,000円には達しないこととなります。

毎月の給与明細から、概算で暦年の給与収入額が推計できるものと思いますので、この額を参考にしてください。

実際に障害年金を受給されている方で、恒常的に上記の額に相当する収入額がある方はごく少数であるものと推測します。

なお、関係者が危惧する支給制限には、あと二つ論点があります。

次回解説します。

2019年10月14日

カテゴリ―:

「所得制限による支給停止」その②

ご依頼人から必ず質問されることは…

前回の前置きに引き続き中身を解説していきます。

◆年金停止に係る所得のボーダーラインは?

障害年金の受給に影響がある具体的な所得額を見ていきます。

その前に、所得制限による支給停止には下記の2種類あります。

1.全額支給停止

2.1/2(半額)支給停止

上記1及び2の停止がかかるのは、前年中の“所得”が一定額以上の場合です。

現行の金額を示しますと、前年所得が

4,621,000円以上で、上記1の全額停止

3,604,000円~4,620,999円で、上記2の1/2停止

となります。

障害年金を受給されている方で所得がある方はほとんどが給与所得者と考えられることから、給与所得のみの方を例にとり具体的に解説します。

先ず押さえていただきたいのは、上記の金額が“収入”ではなく、“所得”というところです。

そこで、所得については税の基礎となる概念であることから、客観的に確認する方法がありそうです。

どう確認したらいいかといいますと、“源泉徴収票”で確認ができます。

多くの場合1月の給料袋に入っていたりしますよね。

では、この源泉徴収票で“所得”を確認してみましょう。

◆お手元に最新の源泉徴収票をご用意ください。

一番上に住所と氏名の欄がありますが、次の行を見てください。

左から、種別、支払金額、給与所得控除後の金額、‥となっています。

この中で支給制限の基準となる“所得額”は、“給与所得控除後の金額欄”に記載のある金額になります。

この額が、3,604,000円未満であれば、障害年金の支給制限は一切ないことになります。

通常、私たちは収入という概念で考えることが多いことから、次回は、収入⇔所得の関係から見ていきます。