2020年7月17日

「障害基礎年金不支給処分取消訴訟(知的障害)」⑳

「金銭管理と買物」についての医師の判定について、裁判所は書証及び証人の証言から次の通り判断しました。

原告は,自身で欲しいものを買うことや,少なくとも割引があれば得であると考えるなどの損得が理解できていないものではなく,また,原告の母等が常に付き添って助言や指導をして買物等をするならば,適切な金銭管理や買物ができないものではないが,原告の母等からあらかじめ助言や指導をしておき,それを念頭に,一定の期間,一定の金銭を保持した状況で,原告の判断によってある程度適切に金銭管理や買物をすることができるまでのものではないと解されるのであって,本件診断書において,金銭管理と買物について,助言や指導をしてもできない若しくは行わないとされているのも,この趣旨をいうものであるとすれば,相当でないとまではいえない。

つまり診断書の判断は正当であると判断されました。

次回に続く

2020年7月15日

「障害基礎年金不支給処分取消訴訟(知的障害)」⑲

◆平成30年の東京地裁判決を取り上げます。

「金銭管理と買物」について

<診断書記載の医師の評価>

金銭管理と買物について,助言や指導をしてもできない若しくは行わない。

<病歴状況申立書>の要点

小遣いはもらったらすぐに使ってしまう,食べたい物や自分の物をいくつか買うことはできるが,食品や日用品等の買物は困難であることから、買物は自発的にはできないが援助があればできる。

<証人原告母の証言>

計画性を持つことができないので,持っているお金は全て使おうとしてしまう、商品が割引になると言われただけで,具体的な契約書の内容理解ができないままクレジットカード契約をしてきてしまったことがある。

この点について裁判所はどう判断したのでしょうか。

次回に続く

2020年7月14日

「障害基礎年金不支給処分取消訴訟(知的障害)」⑱

◆平成30年の東京地裁判決を取り上げます。

「身辺の清潔保持」についての医師の判定について、裁判所は書証及び証人の証言から次の通り判断しました。

原告は,着替え,洗顔,人浴,歯磨き,用便といった基本的な動作を自分で全く行えないものではないが,これらについて自発的かつ適正に行うことができるとまではいえず,本件診断書において,身辺の清潔保持,すなわち,洗面,洗髪,人浴等の身体の衛生保持や着替え等ができ,また,自室の清掃や片付けができるなどの能力について,自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできるとされているのは相当というべきである。

次回に続く