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2020年8月24日

「障害基礎年金不支給処分取消訴訟(知的障害)」㊱

◆平成30年の東京地裁判決を取り上げます。

35回にわたり判例を見てきました。

いかがだったでしょうか。

請求者側、保険者側、第三者の主張を見ることで、認定基準の解釈、診断書の見方、書類を作る観点などで参考になるものと思います。

今後も判例、裁決例の研究を積み重ねることで、より精度の高いサポートを心がけていきたいと思います。

2020年8月22日

「障害基礎年金不支給処分取消訴訟(知的障害)」㉟

◆平成30年の東京地裁判決を取り上げます。

被告の主張に対しては次の理由によりこれを退けています。

1.障害認定基準によれば,知的障害に係る障害等級の認定については,知能指数のみに着眼することなく,日常生活の様々な場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断すべきであり,知的障害が軽度であるからといって,直ちに障害等級2級に該当しないとすべ きものではなく,原告の日常生活能力の判定ないし程度について,2級の判断を左右するものではない。

2.被告の主張によれば、原告は障害等級2級に該当しない旨を主張するが,そもそも障害認定基準は,労働に従事していることをもって,直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず,現に労働に従事している者については,その療養状況を考慮するとともに,仕事の種類,内容,就労状況,仕事場で受けている援助の内容,他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認した上で日常生活能力を判断すべきとしており,親族や職場の関係者等の支援を受  けた結果,対象者の活動の範囲が家庭内にとどまらない場合に直ちに2級に該当しないとするものではないというべきである。

次回に続く

2020年8月17日

「障害基礎年金不支給処分取消訴訟(知的障害)」㉞

◆平成30年の東京地裁判決を取り上げます。

これまで原告側の主張と裁判所の判断を見てきました。

今回は被告(保険者:国側)の主張を見ていきましょう。

原告の状態を障害認定基準における2級の状態像に照らし合わせると、次の点で2級に該当しない。

1.知的障害は軽度と認定されている

2.基本的な日常生活動作について、自発的にできることが少なくない

3.原告の障害を理解できる者との会話もある程度可能である

4.勤務先の援助及び配慮の下とはいえ,勤務を継続して一定の実績をあげている

5.原告の生活行動範囲は障害等級2級の例示として挙げられている範囲を超えている

次回に続く