カテゴリー: 所得制限

2019年11月3日

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「相続財産と所得制限」

20歳前の傷病による障害基礎年金受給中のお子様が相続したら…

◆まとまった財産を相続した場合の障害年金への影響

20歳前の傷病による障害基礎年金の所得制限について、何度かブログで触れてきましたが、別の観点から再度触れたいと思います。

相続した財産が障害年金の所得制限基準を超えていた場合、年金は支給停止になるのでしょうか。

原則、支給停止になりません。

所得制限にかかるのは、“所得”です。

つまり所得税の対象となるものです。

相続財産は“相続税”の対象になるものですから。

原則と書きましたが、では例外は何か?

例えば、賃貸マンションや貸地などが相続財産だった場合です。

財産自体は相続税の対象ですが、相続によりオーナーチェンジがあった場合は、財産の承継者に所得が発生します。

家賃収入や地代収入は所得税の対象となることから、所得制限にかかる場合があり得ます。

お子様に収入が発生する資産を残そうとお考えの方も、おいでになることと思います。

この場合、資産の管理方法の検討と併せて、障害年金の影響する可能性があることも押さえておいていただきたいと思います。

2019年10月16日

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「所得制限による支給停止」その④

ご依頼人から必ず質問されることは…

前回の続きです。

◆誰の所得で判定する?

所得制限による障害年金受給への影響に関連して、よくご質問される論点があります。

“所得制限については、受給者の家族の所得もカウントされるんですか?

” このご質問の背景には、公的制度の中には世帯構成員全員の所得が給付に影響されるものがあるからだと思います。

上記の質問に対する答えは、カウントされる所得は受給者本人のものだけです。

マイナンバーの本連携の前の話ですが、20歳前の傷病による障害基礎年金の裁定請求の際に、審査のため添付が必須とされていた所得証明書は、請求者本人のものだけだったことからも明らかです。

◆前年中に受給した障害年金も所得にカウントされる?

この点については、障害年金は非課税所得であることから、所得制限の判定の対象となる所得にはカウントされません。

ちなみに、公的年金の保険事故は、老齢(老齢年金)、障害(障害年金)、死亡(遺族年金)ですが、税の対象となる所得としてカウントされるのは老齢年金のみです。

2019年10月15日

カテゴリ―:

「所得制限による支給停止」その③

ご依頼人から必ず質問されることは…

前回の続きです。

◆給与収入と給与所得の関係は?

給与所得者が毎月手にするのは給与明細のため、毎月の額面(収入額)がどれだけあれば支給制限になるのかが気になるところです。

そこで、支給制限の所得基準を収入基準に変換してみましょう。

この変換するためのツールは 所得税法 別表第五“年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表”です。

インターネットができる環境の方は、e―Gov(電子政府の総合窓口)等でご覧になれます。

上記の別表五で、支給制限のかかる下限額である給与所得3,604,000円は給与収入額でいくらになるか確認してみましょう。

この表中、給与所得控除後の給与等の金額(給与所得額)欄で3,604,000円を探してください。

該当箇所の左の給与等の金額(給与収入額)は、5,180,000円以上5,184,000円未満 となっています。

これは、給与収入額が5,180,000円に達すると、給与所得が3,604,000円とされるということです。

逆に言えば、給与収入額が5,179,999円までであれば、障害年金の支給制限の下限である所得額で3,604,000円には達しないこととなります。

毎月の給与明細から、概算で暦年の給与収入額が推計できるものと思いますので、この額を参考にしてください。

実際に障害年金を受給されている方で、恒常的に上記の額に相当する収入額がある方はごく少数であるものと推測します。

なお、関係者が危惧する支給制限には、あと二つ論点があります。

次回解説します。