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2020年6月29日

「障害基礎年金不支給処分取消訴訟(知的障害)」⑦

◆平成30年の東京地裁判決を取り上げます。

論点ごとに原告、被告双方の主張を整理していきます。

論点1

基本的な日常生活動作についての自立度

裁判所の認定事実から診断書の記載を再現すると

「生活全般にわたり母・家族の援助なしでは成立していない。何を行うにも家人のサポートが必要であり,日常の最低限のことも出来ないことが多い。」

「母や家族のサポートなしでは日常生活がおくれない。」

「日常生活活動能力は非常に低い。」

また、診断書の日常生活能力の判定は

(食事) 自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる

(身辺の清潔保持) 自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる

(金銭管理と買い物) 助言や指導をしてもできない若しくは行わない

(通院と服薬) 助言や指導があればできる

(他人との意思伝達及び対人関係) 助言や指導をしてもできない若しくは行わない

(身辺の安全保持及び危機対応) 助言や指導をしてもできない若しくは行わない

(社会性) 助言や指導をしてもできない若しくは行わない

さらに、日常生活能力の程度は

知的障害を認め,日常生活における身のまわりのことも,多くの援助が必要である。

などの記述があったようです。

次回に続く

2020年6月28日

「障害基礎年金不支給処分取消訴訟(知的障害)」⑥

◆平成30年の東京地裁判決を取り上げます。

では、原告側はどんな主張をしたのでしょうか。

裁判は同一論点についてそれぞれの主張をぶつけ合う対立構造を取ることから、次回以降論点ごとに原告、被告双方の主張を整理してみたいと思います。

次回に続く

2020年6月27日

「障害基礎年金不支給処分取消訴訟(知的障害)」⑤

◆平成30年の東京地裁判決を取り上げます。

この規範に照らして保険者はどう判断して不支給としたのでしょう。

保険者の不支給決定の理由づけは下記の通りです。

①診断書によれば知的障害の程度が軽度と認定されている

②基本的な日常生活動作について自発的にできることが少なくない

③家族や支援者との会話がある程度可能である

④勤務先の援助、配慮があっても就労できている

つまり、上記の項目は不支給の判断材料になりうるということです。

次回に続く