2019年11月9日

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「月と年月日」

時間軸で障害年金を俯瞰しよう

◆重要事項は年月日の特定が必要

時間軸の流れの中では、障害年金は月で捉える局面と年月日を特定する局面があります。

基礎年金を例にとります。

保険料納付要件の対象となる保険料ですが、20歳に到達した日の属する月分から納付義務が生じ、たとえ20歳到達日が月の1日以外の日であっても日割り計算はしません。

逆に、60歳に到達した日の属する月の保険料の日割り計算はせず、前月分までの納付でOKです。

つまり、月単位での扱いとなります。

また、受給権を取得した場合、障害年金は受給権が発生した日の属する月の翌月分から支給になります。

ここでも、月単位の扱いとなります。

しかし、月で捉えるのではなく、厳密に年月日まで特定が必要な局面があります。

障害年金の入り口である初診日は、年月日まで特定しないといけません。

初診日の特定は特A級の重要事項である証左と言えるでしょう。

また、審査請求は決定があったことを知った日の翌日から3か月以内、再審査請求は社会保険審査官の決定書の謄本が送付された日から2か月以内という書類の提出期限がありますが、これなども厳密に年月日が特定される局面となります。

社会保険労務士がご相談・ご依頼をいただいた場合に神経を使うのは、年月日まで求められる局面であることは言うまでもありません。

2019年11月8日

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「前々月までの未納がない」

なぜ、前々月なのか?

◆再び保険料納付要件の解説

前回、保険料納付要件の概要を見ました。

保険料納付要件をクリアするのは

1.初診日の前々月における直近1年間に未納期間がないこと

2.初診日の前々月におけるすべての被保険者期間のうち、2/3以上が保険料納付済期間又は保険料免除期間であること

いずれも期間制限が“前々月”となっています。

なぜか?

具体例で示したいと思います。

この記事は11月8日に書きつつありますが、本日が初診日と仮定しましょう。

初診日の前々月は9月になります。

年金保険料の納付期限は、翌月末日とされています。

つまり、9月分の保険料の納期限は10月31日です。

初診日の前日の時点で見たときに、10月31日は過去の日であることから、この時点で保険料の納付がなければ未納ということになります。

一方、前月である10月分の保険料は11月30日が納期限であり、初診日の前日の時点では納期限が到来していないことから未納ではないこととなります。

このような考え方から、保険料納付要件の期間制限は“前々月”と設定されています。

2019年11月7日

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「後出しジャンケンはNG」

保険料の未納があったら…

◆保険料納付要件を見ていきましょう

ご相談の面談で初診日の見当がついた場合に、年金事務所へ出向き確認することがあります。

保険料納付要件を満たしているかを確認するのです。

確認の順番は次の通りです。

1.初診日の前々月における直近1年間に未納期間がなければ要件クリア

この期間に未納があれば、さらに確認します。

2.初診日の前々月におけるすべての被保険者期間のうち、2/3以上が保険料納付済期間又は保険料免除期間であること(言いかえると1/3以上の未納期間がなければ要件クリア)

1.2の要件をどちらもクリアできない場合は、障害年金受給の可能性はゼロです。

どんなに障害が重くても…です。

では、保険料の納付状況はどの時点で判定するのでしょうか。

“初診日の前日”の時点です。 年金記録には納付日も記録されているため、この過去の事実は一切動かすことができません。

つまり、事後に未納分を追納しても受給要件を満たすことはできません。

後出しジャンケンは一切認めないということです。

以前このコラムに書きましたが、年金は保険ですので、被保険者は保険料を納付しなければなりません。

(保険料納付=義務)を果たさないと、(保険金の請求=権利)を主張できないということです。

しかも、相当程度の未納がある場合、老齢年金も受給権を得られない、または、受給額が少額となるなどダブルリスクといえるでしょう。

なお、初診日が20歳前の場合は、保険料納付要件は問われません。