2019年11月6日
「提出書類は試験の答案と同じ」
どんなスタンスで提出書類を整備したら良いのかを考察します。
◆問いに正面から答える
発達障害を例にとります。
障害認定基準において例示されている障害の程度と障害の状態は以下の通りです。
【1級】
発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
【2級】
発達障害があり、社会性やコミュニケーシヨン能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの
いわば、これが試験の問いです。
つまり、“事前に1級、2級の障害の状態を公表しておくから、診断書と病歴・就労状況等申立書により、ここに該当することを証明しろよ!”ということです。
私たちが試験に臨むにあたっては、事前に出題範囲を押さえて上で準備して臨むのではないでしょうか。
障害年金の提出書類と同じです。
上記の発達障害では、社会性やコミュニケーションの不自由さを明確に記述し、さらに、そのことによって日常生活のどの場面でどんな援助が必要かを詳述する必要があるものと思います。
つまり、問いに対して正面から答えるという意味において、試験と同じというスタンスで取り組んではどうでしょうか。
2019年11月5日
「市町村役場or年金事務所」
障害年金の窓口 どっちに行ったら得か…
◆相談・書類提出の窓口はどっちが良いか…
公的年金である障害年金の窓口は2種類あります。
お住まいの市町村役場 と 年金事務所
これからお子様の障害年金に取り組むことを決めた方、相談・書類提出の局面でどちらに足を運んだら良いのでしょう。
20歳前の傷病による障害年金は障害基礎年金です。
障害基礎年金は、市町村役場、年金事務所どちらでも扱っています。
なお、初診日が厚生年金加入期間中である障害厚生年金の窓口は年金事務所のみが扱っているため、選択の余地はありません。
では、それぞれの窓口の一般的なイメージを挙げてみましょう。
【市町村役場】 ・戸籍や住民票を取りに行った経験があるなど身近な存在で敷居が高くない。
・住まいから近い(もちろん年金事務所の方が近い方もいますが…)
【年金事務所】
・ほとんど行った経験がなく敷居が高い感じ。
・最寄りの事務所がどこにあるか知らない。
実務でお客様にお話を伺うと、相談に出向いたり、書類を出しに行かれたのは市町村役場というケースが多いです。
上記のイメージがあるからではないでしょうか。
一方、私たち社会保険労務士が代理のご依頼をいただいた場合は、年金事務所に足を運びます。
なぜか?
ひとつは、年金事務所の窓口には、日本年金機構の本部に保管するひとり一人のマスタデータを表示できる端末が設置されていて、加入歴、保険料の加入歴など、必要なデータを窓口の担当者と共有しながら手続ができるからです。
もうひとつは、年金事務所では、日本全国どこにお住まいの方であっても手続ができるからです。
実際、私も東京にお住まいの方の手続を最寄りの年金事務所で行いました。
しかし、障害年金を請求する側の目的は手続が完了するかではなく、受給権を認めてもらうことにあることから、重要なのはどちらに書類を提出した方が認定され易いかです。
これは、どちらに提出しても差はありません。 なぜなら、受給権の有無の審査をするのは受付窓口ではありませんから。
2019年11月4日
「再審査請求の統計」
高いハードル…
◆厚生労働省の統計から見えてくるもの
不服申し立ての第2審である社会保険審査会への再審査請求について、厚生労働省から平成30年度の処理状況が公表されましたので見てみましょう。
【平成30年度】
①容認(請求人に軍配を上げる) 91件
②棄却(保険者に軍配を上げる) 1,148件
③却下(門前払い) 105件
④原処分変更による取下げ(保険者が裁決前に自主判断で原処分を変更)113件
⑤他の理由による取下げ(請求人が自主的に裁決を求めない) 23件
請求人側の主張が通ったと言えるのは、上記の①及び④です。
計算すると全体に対する割合は、13.78%
社会保険審査会の審査対象は障害年金のみではなく社会保険制度全体なので、上記の数値は障害年金のみの数値ではありません。
しかし、不服申し立ては障害年金が圧倒的に多いため、上記の数値は障害年金の傾向を表していると見ることができます。
したがって、“社会保険審査会で主張が認められる確率”は極めて低いと言えます。
ここから見えてくるものは何か?
当初の裁定請求の段階で精度の高い書類を揃えることにより、審査請求に進まなくても良い状況を作ることが大切だと言えるでしょう。